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GRAPHICS

来場者が集め、伝えやすく、読みやすくなる「壁面グラフィック」の考え方「4つのポイント」とは?

壁面デザイン/壁面グラフィックの整え方は?

展示会ブースのデザインを左右する壁面の「グラフィックデザイン」。展示会業界では「サイン計画」とも言います。この壁面のサイン関係をどのようにデザインし掲示物を決定するのかについては、明確な考え方があります。注意しなければいけないことは、空間における記載方法とチラシやパンフレットなどの記載方法とは考え方が異なる、という点です。また、展示会ブースの壁面に記載する文言は、来場者を集め、出展者の伝えたいことを正確に伝えるために重要な役割を持っている、という点も当たり前のことですが大事です。当たり前に聞こえますが、多くの出展社は壁面には多くの来場者には響かないであろう「自社の理念」のみを掲げているブースを多く見かけます。ただ綺麗なだけの壁面グラフィックや、多くを詰め込み過ぎて自己満足になっている壁面、チラシをただ拡大しただけの壁面では、訴求力はない、と言っても過言ではありません。この考え方は、壁面に記載するグラフィックだけでなく、A1サイズなどのパネルでも同様のことが当てはまります。では、展示会ブースの壁面デザイン、壁面グラフィックをどのように考えればいいのか、このページでは解説しましょう。


  1. 壁面の「位置」によって書くべき内容は変わる
  2. 壁面の情報を記載する「3つ方針」
  3. 「掲げること」より「伝えること」を目標に
  4. 「フォント」の整え方を知っておく

 

01|壁面の「位置」によって書くべき内容は変わる

壁面のどの部分に記載するものなのかによって、文字のサイズ・表記すべき内容は変化する
POINT1:チラシのデザインとは異なり、来場者は「動く」もの
POINT2:壁面の高さ方向の場所によって内容を使い分ける

 
展示会ブースの壁面の高さは通常2.7mとなっています。小間のサイズによって、3.6mであったり4.5m、それ以上の場合もあります。ここで知っておいてほしいことは、高さ2.7mの場所に記載した内容は、その壁面の目の前に立った来場者には読まれることはまずない、という点です。多くの来場者の場合、目の前に壁があれば目線に近い場所を見ることになり、真上に記載しているものをわざわざ見上げて読むようなことはしません。もうお気づきかもしれませんが、壁面の上の方に文言を書く場合、それは「遠くから読んでもらう」ことを想定した文字のサイズ、表記方法になるのです。では、遠くから読んでほしいものはなんでしょうか?これは、「基本3原則」のページでもお伝えしましたが、「何を扱っているのか」をまずは知らせるべきです。つまり、ブース壁面の高い位置に記載するものは、ブースから10m以上離れた場所から読むことを想定した文字の大きさであるべきなのです。出展社の方の意見で時々あるのは、ブースの「目の前」に立った時に、目の前の壁面、上部の梁(パラペット又はボーダー)が邪魔で「上部の看板が見えないではないか」と言われること。これはデザイン上の間違いではなく、それで当然なのです。上部の看板は、遠くから気付いてもらうためのもの。ブースの目の前に立った時は、立った時に見える位置に看板とは別に改めて「何を扱っているのか」を表記する必要がああります。ブースの壁面に同じ表記がたくさんあっても問題ありません。例え同じ言葉でも、確実に伝えなければいけない内容であれば、遠慮なく多くの場所に掲示してしまいましょう。
 

展示会ブース壁面デザイン・グラフィックの方針
 

どの高さに書く情報かによって表記方法を変える


 展示会ブースの壁面に記載する情報は、どの高さに表記するかによって、その表記内容、表記方法が変わります。例えば、左の写真は、目の前で読んでもらうことを前提としてデザインしています。壁面から60㎝ほど離れた場所から読みやすい文字サイズ。そして、基本的には来場者が自分で読んでほしい場所なので、文字量を多めに記載しています。これが、もしブースの上部であれば、20m前から読める文字のサイズ、20m前から読んでほしい表記内容(つまり「何を扱っているか」)を記載する必要があります。


02|壁面の情報を記載する「3つの方針」

ただ何となく壁面に情報を詰め込んで書き込むのは「自分目線」
→POINT1:壁面グラフィックもA1パネルも来場者は長くは読んではくれない
→POINT2:壁面の場所、伝達方法に合わせたデザイン手法を採用する

 
ブース壁面のデザインを考える際に、「どの壁面にどんな情報を記載するべきか」と悩まれる出展社の方は多いと思います。そんな時は何を書くかに悩む前に、まずその場所の特徴を考えてみてください。その場所はブースの中でどんな位置にあるのか。通路際なのか、ブースの奥なのか。説明員が常に傍にいるのか、いないのか。人通りが多い場所なのか、あまり通行人(来場者)が少ない場所なのか。それによってどんな表記方法を取るかが変わります。また、同じ壁面でも、高い場所、目の前、足元でも記載する内容は変わってきます。当社では、壁面のグラフィックデザインを考える際には以下の3つの方針でデザインを考え分けるようにしています。まず、1つ目は一般的に多くの出展社さんが考えるであろう「来場者に読んでもらう」ために記載する、というもの。これは、近くに出展社がおらず、来場者が一人で読むことを想定した場合のデザイン方針です。2つ目は、傍らに出展社(説明員)がいる場合の壁面デザインの考え方。この場合は、説明することが前提の表記方法ですので、掲示するものは、出展者が説明に使用する写真や図をあらかじめ貼っておく、という手法をとります。写真や図の他に説明に使用するキーワードやポイントなどを単語で掲示しておくと説明がしやすくなりますね。このように「説明員がいる」ことが明白な場所の壁面デザインは、読ませるための表記方法ではなく、「説明しやすい」表記方法としてデザインを行うようにします。そして3つめのデザイン方針。これは機能的な意図はなく、単に「デザインとして表記する」というものです。この場合の機能は、ここにそのデザインを入れることで、「ブースの印象を高めるため」に表記を行います。デザインに対して理解のない方は、時に「こんな場所にこんなデザインはいらない」「説明機能のないものを書くのはだめだ」といった発言をされる場合がありますが、説明機能以外にも、ブースの印象を高めるために表記することが必要な場合もありますので、その壁面デザイン、壁面グラフィックがどんな効果を持っているのか、今一度慎重に考えてみてください。ポイントは徹底的な来場者目線。自分目線になってしまわないように注意しましょう。
 

展示会ブース壁面デザイン・グラフィックの方針
 

説明員がいることが前提のパネルデザイン


 説明員が傍にいることが前提でA1パネルをデザインする場合には、「読ませる」ようにデザインするのではなく、説明する際に必要となる画像、言葉を「事前に記載しておく」という趣旨でまとめるようにします。この写真の場合、目の前に商談カウンターがあったのですが、「この写真はですね・・」といったように出展社の説明員がこのパネルを指し示しながら、来場者と商談を行うことを前提としてデザインをしています。パネルの上部には、まず「何のことを書いているのか」が分かるようなシンプルなタイトルを掲示。その下には説明に使う写真を4点ピックアップしています。さらにその下にはポイントとなるキーワードをいくつか表記しています。


 

03|「掲げること」より「伝えること」を目標に

「どう伝えるか」という視点で見直すと様々な手法が見えてくる
→POINT1:A1パネルに書き込み過ぎても読んではくれない
→POINT2:A1パネルだけでなく、ファイルや手持ちパネルを用いる

 
出展社の業種によっては、商品がなく(無形商材等)A1サイズのパネルを多く壁面に張り付ける方も多いのではないかと思います。また、商品があっても補足の説明のためにA1パネルを貼る、という方もいらっしゃるでしょう。A1パネルであれ、壁面に書き込む壁面グラフィックであれ、多くの出展社の方は、そのA1パネルを制作する際に、より多くのことを書き込もうとし、結果的に密度の高い、ごちゃごちゃとしたパネルデザインになってしまう場合が多く見られます。他のページでもこのことはお伝えしていますが、このような状況・デザイン方法はお勧めしません。自分目線でデザインしたパネルは、展示会の場ではなかなか通用しません。A1パネルの前で、どのくらいの時間、来場者は読んでくれるのか。それを考えると、「長くは読んでくれない」「隅から隅までは読んでくれない」ということはイメージしていただけるのではないでしょうか。では、どのように考えればいいのでしょうか。まず、考え方をシフトしていただきたいのは、大事なことはそこに書き込もうとしている内容を「伝える」ことであってA1パネルを掲げることではない、ということです。多くの出展社は無意識のうちに「A1パネルのみで伝えなければいけない」と思ってしまっています。でも、「伝える」ということが目的であれば、A1パネルだけでなく、その下に、日頃営業で使っているPPT(パワーポイント)の資料を丁寧にファイルに入れて置いておけばいいのです。大事な部分、詳細の説明を「手持ちパネル」にして置いておき、状況によって手にとって説明するのもいいですね。それに、重要な部分はコピー機でコピーしておいて、来場者の方に持って帰ってもらってもよいでしょう。このように、A1パネルを掲げるのではなく、「伝える」ことを目的にしたら、パネルだけでなく、「壁面全体で伝える」「設え全体で伝える」という発想に切り替わります。このことを考えたとき、A1パネルには、壁面グラフィックにはどんな内容を、どのような表記方法で描けばいいのかが、自ずと決まってきます。 

展示会ブース|壁面デザイン・グラフィックのポイント
 

「営業用PPT資料」をファイルに入れて設置する


 壁面に書き込み過ぎても読まれるとは限りません。それであれば壁面には最小限のことを記載し、詳細の説明は手持ちパネル(写真中央)、または日頃営業で使用しているPPT(パワーポイント)の資料をファイルに入れて、写真のように広げて設置しておくことも有効です。この場合、ファイルに入れて広げて置くことが重要で、PPTの資料をホチキス止めして無造作に置いておくと「読んではいけないもの」との印象を来場者に与えてしまいますが、ファイルに入れて広げて設置をしておくと、来場者の方は意外にページをめくって読んでもらえます。


 04|「フォント」の整え方を知っておく

フォントの選び方、文字組の仕方でブースの印象は大きく変わる
「余白」の設定が重要に。
→POINT1:ゴシック体と明朝体の違い、文字の太さを使い分ける。
→POINT2:「文字間」と「行間」のとり方で印象が変わる

 
グラフィックデザイン、というと「難しいもの」「経験が重要で簡単に習得できるものではない」、と知っている人ほど思われるのではないかと思います。このことは私も同感です。チラシ1枚をつくるにしても、伝わるレイアウトはどうあるべきか、文字組をどうするか、画像のトリミングをどうするか、そもそもどのような部分を強調し、どの部分を書かないでおくべきか、など、考えれば考えるほど、未経験者には難しいと感じることばかりです。ただ、ここでお伝えしたいのは、そのような経験豊富なプロにお任せするものは、お任せするとして、一般的なグラフィックデザイン未経験者に知っておいてほしいことについて、です。グラフィックデザインの世界において、フォントや文字組はかなり奥が深いです。私自身もグラフィックの専門ではないので、知らないことがまだまだ多くあります。ただ、一般的な出展社の方にも知っておいてほしい最低限の項目があります。それは、フォントの整え方。実際にはもっと深いのですが、せめて以下の3つのことは知っておいてほしいと思います。まず1つ目は、明朝かゴシック、どのようなフォントを選ぶか、です。それぞれには形の違い意外に「太さ」の種類もあります。太めのゴシック、細めのゴシック、など。一般的にゴシックの方がはっきりとしているため展示会では目立つ、と思われますが、必ずしもそうとは限りません。明朝体でも、大きさや文字間のとり方によって、視認性を高めることは十分可能です。当社では、品良く、上品に感じさせたい場合には、明朝を使うことが多くなります。その場合、明朝の太さと文字間、行間を整えて、武骨な感じにならないように、ゆとりをもった表記方法にします。ここで知っておいてほしい2つ目なのですが、文字間と行間を慎重に考える、という点です。文字と文字の間が詰まり過ぎていると窮屈な印象を見ている側に与えてしまいます。品良く見せたい時などは、文字間を多少広めにするようにします。「行間」も同様です。そして3つ目は、文字の大きさに違いを持たせること。空間の場合、特に展示会の場合、壁面の記載を見てもらえるのは「ほんの一瞬」です。そうすると、最初に目に入るべき単語は何か、理解してほしい言葉は何か、一瞬の理解のために「目立たなくてもいい文字」は何かを選ぶことが重要です。それらを鑑みて、文字サイズを1単語ずつ調整することが大事になるのです。これら以外にも、キャッチの文字の周囲には余白を持たせる、取り付ける予定の照明器具との距離を考慮するなど、多くがありますが、まずはフォントにまつわるこれらのことを出展社の皆様自身で理解しておくようにしてください。

展示会ブース壁面デザイン・グラフィックの方針
 

瞬間に読めるように文字のサイズを変える


 この写真は、あるブースのキャッチを掲げたものですが、「水を使わない、靴のシャンプー」を同じようなサイズで表記すると少々長くなってしまうので、2行に分割し、「を」や「わない」などのひらがな部分を少し小さめの表記にしています。その下にはブランド名と商品名を記載。言葉をブース内に表記する場合、フォントの選んだ上で、文字間をどのようにするか、文字の大きさをどのようにするか、その表記方法を考えるようにします。


  

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PART-1/出展結果を出す思考法
PART-2/ブースデザインの手法
PART-3/PENGUIN METHODの応用
PART-4/これからの展示会業界を考える
PART-5/展示会の「商空間」への応用