行政・自治体等集合ブースの事例解説
行政・自治体集合ブース計画のポイント
1.会社名ではなく、「何を扱っているか」を目立たせる
2.出展社の「待機方法」をレイアウトに組み込んでおく
3.出展位置に不公平感がないようにする
4.壁面のデザイン・構成が「伝える力」を高める
5.ルール決めが、ブース全体の印象を左右する
「待機方法」と「キャッチコピー」が出展満足度を高める基本
自治体・中小企業支援団体による複数の企業が集まる「集合ブース」において、成果の出し方に悩まれている担当者様の声を多く聞きます。出展していただく企業の皆さんの成果や満足度が獲得できなければ、次年度以降の予算が削られてしまい、さらに成果が出なくなってしまう。このような悩みは現在全国の自治体・支援団体の方々に共通しています。複数の企業が集まる集合ブースが成果を出すためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。まずブースデザイン上の話をすると、レイアウト検討時に重要視してほしい箇所は、出展者の「待機方法」を検討に入れておくこと。集合ブースのそれぞれの企業展示台に来場者が集まらない大きな原因の1つは「出展者が待ち構えているために来場者が近づきにくくなっている」ことです。とは言え、「待ち構えないでください」と言っても簡単にできるものではありません。だからこそ、ブースレイアウト計画段階で「待機方法」をデザインに組み込むことが重要です。また、出展者ブースの上部に「何を扱っているのか」を明確に記載しておくことも重要です。各展示台に近づきやすくなっても、何を扱っているのかを瞬間的に分かってもらう工夫をしなければ、来場者は通り過ぎてしまいます。多くの集合ブースが会社名を最も大きく掲げていますが、それは得策ではありません。もっとも大きくするべきは、「何を扱っているか」の表記。それをできれば10文字以内で表現したいところです。会社名は小さくて構いません。この他にも、壁面の有効活用、出展者の出展位置の計画的な配置など、手法は様々にありますが、出展満足度100%を獲得することは不可能なことではありません。しかし、そのためにはブースのレイアウト検討だけでなく、製品陳列の在り方、キャッチコピーの工夫、出展者の待機方法など、様々な視点から計画的な出展計画を必要とします。
CASE STUDY
01/CASE-01 | 30000×6000×H3600
「待機方法」の工夫で、会場内最大級の集客に
GIFTSHOW|公益財団法人 石川県産業創出支援機構様
TOKYO BIGSIGHT
奥行6m×幅30mというブース形状。手前が前面通路ということのブース形状の場合、通常であれば出展者の展示台を通路に向かって並べる、というレイアウトが選択されることが一般的です。実際に同じようなブース形状となる自治体集合ブースの場合、そのような手法が取られています。しかし、そのような出展者配置の場合、それぞれの展示台の横に、出展社スタッフが立って並ぶこととなり、待機方法の工夫になれていない出展者は、周囲を見渡しながら立ち尽くす、という状態になってしまいます。そこで、石川県のブースでは各出展者の展示台をブースの「内側」に向けました。「通路に対して背を向ける」、敢えてこの手法を採用した理由は、実は「出展者の待機場所」をブース内に設けるため。ブースの内部、通路中央にカウンターを設け、出展者の皆さんには、この場所で出展社を待つようにお願いしました。そして、自社の展示台の前・横は常に空けておく。さらに、それぞれの出展者展示台の上部には、キャッチコピーを掲示していますが、このキャッチコピーについては、出展者各社にヒアリングをした上でスーパーペンギン代表の竹村が全て考案しています。集合ブースで成果を出すためには、ブースデザイン検討段階で、出展者の「待機方法」を盛り込んでおくことがとても重要です。その上でさらに商品の陳列方法とキャッチコピーの在り方を考える。これらの工夫によって、確実な成果を出すことができるブースにすることができます。
02/CASE-02 | 14600×27000×H3600
出展者の商品価値を高める「陳列」と「壁面デザイン」の工夫
ギフトショー|公益財団法人 東京都中小企業振興公社様
TOKYO BIGSIGHT
集合ブースに限ったことではありませんが、商品の陳列方法によって、来場者(バイヤー)の立ち寄り方は大きく変わってきます。以前、当社がはじめてブースデザインを担当したお客様の展示台上の商品陳列を行ったところ、訪れたバイヤーさんが「この商品初めてみました」との感想をいただきました。実際には、ずっと以前から出展はしていたのですが、その際は立ち寄ってもらえていなかった、ということなのだと思います。今回の東京都中小機構振興公社様のブースでは、各出展者の展示台上の陳列については、1社1社、事前にディスプレイ指導を行い、陳列の方針を決めていきました。どんな店舗に訴求したいのか、何を最も売っていきたいのかを考え、陳列の方針のアドバイスを行います。最終的な商品陳列は出展者各社にお任せするのですが、ブース全体的な見映え、つまり印象づくりと、各社の展示台上の陳列を補完するために各社の壁面デザインは当社で全てデザインを行っています。各社の壁面に掲げるものは、目の前に置いてある商品のイメージを補助するもの。つまり、作業している職人さんの写真や工場の写真など。一般的に壁面には商品写真や細かな説明などがいろいろと貼られますが、商品は実物が目の前に置いてありますし、説明に関しては出展者スタッフがその場にいます。それよりも、パッと見た瞬間の印象として、商品とともに製作時の写真などが貼ってあると、「この商品はタダモノではない」とバイヤーさんに感じていただいて、寄ってもらうことに繋がります。加えて、壁面上部の「キャッチコピー」も重要。この言葉については、スーパーペンギンの竹村が全社にヒアリングの上、決定しています。集合ブースにおける商品展示に重要なものは実は壁面の在り方。東京都中小企業振興公社様のブースに限らず自治体集合ブースでは壁面デザインの在り方を重視しています。
03/CASE-03 | 9000×6000×H3600
「センスの良い賑わい」をつくり、「価値を高く見せる」商品陳列の工夫
スーパーマーケットトレードショー|紀州クオリティー様
MAKUHARI MESSE
食品系展示会のブースには「センスの良い賑わい」が大事、と常々お伝えしています。余白が多い真っ白なブースでは、展示会場内において存在感が弱くなってしまい、来場者が集まらない原因となってしまいます。例えて言うならば、デパ地下のお総菜売り場のように活気と賑やかさがある。そんなブースが重要であり、商品陳列も賑やかさを必要とする。このことが食品系展示会の基本なのですが、ただただ「賑わい」と言って、ブースに商品を山のように設置すると、「ただ雑然としているだけ」な印象となり、商品価値を低く感じ取られてしまう。そんなことにもなりかねません。そこで、賑わいを演出しつつも、印象がいい。そんなブースづくり、商品陳列の方法がよい、と常々感じています。今回のこのブースは、和歌山県の中でも比較的デザイン性の高い、こだわりのある商品を扱っています。周囲ブースとの差別化のために、「余白」の率を少し高くしつつ、一方でロゴやグラフィックを比較的大きめに掲示しました。食品系のブースの場合、商品陳列はひな壇にして、少しでも多くの商品を設置する、という手法をとりますが、その際のポイントは、手が届きにくいひな壇の奥、つまり最上段は、「触ってもらう」展示ではなく、「魅せる」展示にすること。フォーカスさせたい商品を大量に並べるなどして「印象」をつくるようにします。そして、後ろの壁面にはチラシを雑に貼るのではなく、商品をイメージさせるような、補完するような写真をパネル化して貼り付ける。このようにひな壇上部と背面壁をしっかりと整えると、ひな壇の下の方、つまり手前は多少雑多になっても、展示台全体としては印象がよくなります。展示台の手前は試食や素材などを設置して、是非手に取ってもらいたい場所。食品系の場合、このような陳列方法を取ることで、自社の印象を高めることが可能です。
DESIGN CATEGORY
SUPER PENGUIN/Archieves[デザイン実績ページ] >
上記以外の当社のブースデザイン事例をまとめた実績集サイトです。このサイト以外にもPinterest、Instagramなどもありますので合わせてご参照ください。いずれのブースもシンプルな形状に見えますが、来場者の心理を軸に構成した空間デザインとなっており、余計なものを省き、集客を企図したブース形状となっています。これらは単にデザインを行っただけでなく、集客の結果を出すことを目的にデザインを行っており、全てのブースで集客などの結果を出しています。
DETAIL
当社の実績写真は本ページと「Pinterest」の他に、上記の「WEBサイト」にも多く入れています。当社は、雑貨、化粧品をはじめ機械系、IT系、食品系、学会系など様々な分野のブースをデザインしています。ブースに集客を行うための基本的なロジック(考え方)はどの業界のブースでも共通ですが、業界ごとに少しずつ特徴があります。例えば、食品系の展示会ブースの場合は真っ白スッキリのブースではだめで、「センスのよい賑わい」を感じさせるブースである必要があります。壁面の余白をなるべく少なくし、ブース全体に賑わい、もしくは力強さのようなものを反映させること。このように業界ごとにちょっとした特徴があるのです。そして、それら全ての業界のブースに共通して必要な考え方は、「空間デザイン」である、ということ。とは言え、「空間デザインって漠然として分からない」という方がほとんどだと思います。「空間デザイン」とは、その空間の主人公である「来場者の心理」を軸にして考えること、とでも言いましょうか。来場者はブースの前でどのように考えるのか、どこを見るのか、どう動いてほしいのか。そのようなことを考え、その考えを反映するようにブースを構成すること、それが空間デザインです。当社は、もともとは建築・インテリアデザインを行う「空間デザイン会社」です。その特徴を活かし、「結果の出るブース」「結果につながる意図を持った形状、空間をブースに変換し常に提案しています。