1小間-3小間|小規模小間の事例解説
小規模小間のブースデザインのポイント
1.小間位置から人の流れと見え方を見極める
2.展示台を通路際に設置する
3.通路際で接客、内部で詳細説明、を行う
4.「何を扱っているか」を明確に掲示する
5.待機方法をあらかじめ決めておく
小さいからこそ難しい小規模小間のプランニング
1小間~3小間といった小規模小間は、会場内での存在感が薄くなってしまいがちであるため、戦略なくただブースに商品を並べただけでは多くの場合、思い通りの成果を出せなくなってしまいます。小さなブースだから簡単なのではなく、小さいからこそ難しい。それが小規模小間のブースデザインとなります。とは言え、来場者を集めるためには明確なポイントがあるため、そのコツを押さえることが重要となります。その1つはレイアウト。「通路際」に展示台を置くことがまず大切です。来場者はなかなかブース内には入ってこないもの。来場者が立ち寄りやすくなるように、まずは展示台を一番前に置きましょう。そして同じくらい大切なのが、「何を扱っている」会社なのかを明確に、端的に記載しておくこと。ぱっと見で何を扱っているのかが分からなければ、来場者から見れば、「近寄ってみてみよう」という気持ちが少なくなってしまいます。この他にもポイントは多々ありますが、まずは例え1小間・2小間といったサイズであっても、戦略的にブースを考えなければ来場者はなかなか集まって来ない。これだけは覚えていてください。
CASE STUDY
01/CASE-01 | 3000×3000×H2700
質の高い商品を引き立てる方法
DESIGN TOKYO|グッドモーニング様
TOKYO BIGSIGHT
Good Morning様は立体型のカレンダーを企画・デザイン・販売を行う会社様。初めて商品を拝見した時、そのクオリティーの高さに感激したのを覚えています。ブースデザインを検討する際、その質の高さを表現できる方法はないかをまず考えました。数ある商品を纏めて展示台の上に並べると、その1つ1つの価値が下がって見えてしまうのではないか、と感じたのです。そこで、壁面に小さな棚を設け、そこに1点1点、商品を置くことにしました。さらに、商品名を壁面に記載します。棚に1つの商品を設置し、そこに商品名を「キャプション」のように記載すると、その商品の価値が上がって感じさせることができます。一方で展示台上には、商品のシリーズ毎にまとまりをつくり、10㎜厚のプレートの上に設置。手前にキャプションのボードを設置して、これも商品価値が高く見えるように陳列しています。ブース上部から吊り下げた商品は、ブースから離れた位置から見た時に、来場者の人だかりの上部に浮いて見えるようにし、「何のブースだろう?」と気になるような役割を持たせています。デザイン的なクオリティーが高い商品、こだわりの強い商品、そして価格の高い商品は、その価値以上に見せることがブース戦略上重要となります。単にブース全体をデザインするだけでなく、陳列やキャプションまでの細部まで計算に入れてデザインをすることが確実に来場者を集めるために必要です。
こだわりのある完成度の高い商品のため、1点1点を丁寧に展示する手法に。キャプションを付けて印象を高めています。
カウンター上に複数個設置する場合には「帯」を設置し、まとまり感と印象を高く感じていただく陳列としています。
02/CASE-02 | 3000×3000×H2700
1小間でも確実な存在感を出す工夫
JIMTOF/日本国際工作機械見本市|カネックス刃物工業株式会社様
TOKYO BIGSIGHT
JIMTOFは2年に1回開催される工作機械の総合展示会。東京ビッグサイト全館に及ぶため超大手企業も含めて数多くの出展者が会場にブースを構えます。カネックス刃物工業様は福岡県大川市で刃物製造を行う会社様。商品だけでなく、会社としてのブランディングにも真剣に取り組まれている会社様。今回JIMTOFには1小間で参加されましたが、小間位置を確認すると周辺には、大手企業の巨大ブースが広がる場所の側に位置していました。数十倍もある大小間の側にあると、存在感がなくなってしまい、来場者が素通りしてしまう。その可能性が高くなります。そこで、ブースの存在感を高めるため、壁面グラフィックの在り方を工夫。カネックスさんのHPイメージやパンフレットのイメージ、つまりブランディングのイメージを損なわないよう、同じデザイン要素を少々派手目に設け、周囲からの視線を集めやすくしました。また、その壁面には何を扱っているかの表現だけでなく、伝えたい「キーワード」も記載。壁面を見た来場者に自然に目に入るようにしています。展示台には製品を置いていますが、自由に手に取ってみることができるものを通路際に。そして、貴重なもの、手に取ってもらうには危ないものをブース内部側のアクリルケース内に設置しています。製品となる工具類は、自由に手に取ってもらうようにすることで、ブース前に滞留する時間が延び、結果的に集まった人がさらにほかの来場者を呼びよせる、という効果を出すようになります。
壁面デザインのベース色に青と黒を採用。キーワードを散りばめることで、視認性の良いにぎやかさと言葉の訴求を狙っています。
製品は敢えてランダムに、ラフに置くことで手に取りやすい工夫をしています。手に取れるようにすることで滞留時間を延ばす工夫を施しています。
03/CASE-03 | 3000×3000×H2700
「価格が高め」の商品をその「価格以上」に見せる工夫
国際発酵・醸造食品産業展|株式会社大泉工場様
TOKYO BIGSIGHT
埼玉県川口市に行くことがあれば是非立ち寄っていただきたいのが、「大泉工場」さん。敷地内にベーカリー/カフェがあり、その雰囲気など、遠回りしてでも立ち寄る価値のあるお勧めの空間です。今回ブースに展示するものは、そんな大泉工場さんが提供する発酵スパークリングティー「_SHIP」。初めて商品を拝見した時、一般的な飲料のサイズからすれば、ちょっと「価格が高め」と思われてしまう可能性がある、と感じました。そのためブースのイメージはもちろんですが、商品陳列の方法も、その価格がむしろ「安い」と感じてもらえるような手法を取る必要があります。展示会はバイヤーと商談をするBtoB展示会。一般的な店舗での商品陳列とは異なり、バイヤーが「この商品を自社の店舗で扱ったら売れる」と判断していただけるような陳列方法を行う必要があります。そこで、商品は10㎜厚のプレートの上に設置。その前にキャプションを設け、それぞれの商品の説明を加えるとともに、それぞれの商品の原料を「シャーレ」で設置して、その商品が「只者ではない」感じを演出しました。加えて、「背景壁」を設け、商品を引き立てることで商品を「お値段以上」に見せる工夫をしています。また、ブース全体では、商品のパッケージイメージをモチーフにブース全体を構成しています。壁面グラフィックは機能的な意味はあまりなく、「なんとなくかっこいい」を目指してデザインを行いました。一見、価格が高いと思われてしまう商品は、その商品が置かれる設え全体、そして商品の設置方法を工夫し、「お値段以上」に見せることで来場者に受け入れられやすくする。このことがポイントとなります。
壁面グラフィックは商品の良さを伝えるために「イメージ優先」のデザインに。機能的な意味は少なく、印象を作り出すようにしています。
1点1点の価値が高く見えるように。商品はプレートの上に設置し、背景を設けています。キャプションによって印象を高めるようにしています。
DESIGN CATEGORY
SUPER PENGUIN/Archieves[デザイン実績ページ] >
上記以外の当社のブースデザイン事例をまとめた実績集サイトです。このサイト以外にもPinterest、Instagramなどもありますので合わせてご参照ください。いずれのブースもシンプルな形状に見えますが、来場者の心理を軸に構成した空間デザインとなっており、余計なものを省き、集客を企図したブース形状となっています。これらは単にデザインを行っただけでなく、集客の結果を出すことを目的にデザインを行っており、全てのブースで集客などの結果を出しています。
DETAIL
当社の実績写真は本ページと「Pinterest」の他に、上記の「WEBサイト」にも多く入れています。当社は、雑貨、化粧品をはじめ機械系、IT系、食品系、学会系など様々な分野のブースをデザインしています。ブースに集客を行うための基本的なロジック(考え方)はどの業界のブースでも共通ですが、業界ごとに少しずつ特徴があります。例えば、食品系の展示会ブースの場合は真っ白スッキリのブースではだめで、「センスのよい賑わい」を感じさせるブースである必要があります。壁面の余白をなるべく少なくし、ブース全体に賑わい、もしくは力強さのようなものを反映させること。このように業界ごとにちょっとした特徴があるのです。そして、それら全ての業界のブースに共通して必要な考え方は、「空間デザイン」である、ということ。とは言え、「空間デザインって漠然として分からない」という方がほとんどだと思います。「空間デザイン」とは、その空間の主人公である「来場者の心理」を軸にして考えること、とでも言いましょうか。来場者はブースの前でどのように考えるのか、どこを見るのか、どう動いてほしいのか。そのようなことを考え、その考えを反映するようにブースを構成すること、それが空間デザインです。当社は、もともとは建築・インテリアデザインを行う「空間デザイン会社」です。その特徴を活かし、「結果の出るブース」「結果につながる意図を持った形状、空間をブースに変換し常に提案しています。